2005年夏以前の感想・は行

作品名の後ろは(年齢制限/ページ数/値段/発行年月)をわかる範囲で表示しております。

音沙汰がなくなった同人ソフト体験版はよほど紹介したいもの以外は書きません。

好評価の同人ソフト体験版で、もっと最新のものが出ているのに前の体験版で感想を書いているのは、
「買うことに決めたからもう体験版はプレイしなくてもいいや」と思ったからです。

やっぱり漫画や小説の感想は少ないです。一言くらいしか書くことないのが多いので。

値段は入手時のものです。場合によっては異なる可能性があります。

 

同人ソフト

同人誌
漫画  小説

 

(同人ソフト)

HaccaWorks*

花帰葬(1800円/2003.12)
雪原で目を覚ました玄冬は記憶を失っていた。
傍らにいた花白は自分と一緒にいれば記憶は戻る、と言う。
そうして、二人は行動を共にすることとなった。


選択肢あり、ファンタジー、十時間ほどで読み終わりました。エンディングは十四種類。
システム面では立ち絵変化のエフェクトが省略されないのでスキップがかなり遅いのが難点。
エンディングがたくさんあるゲームでは非常に痛いです。
絵は黒鷹のデザインが好きです。ゴテゴテと派手で。
一枚絵は三十六枚+差分。それに背景画像もGalleryで見ることができ、こちらは三十二枚+差分。
音楽は
同人ソフト歌編で挙げたようにOP曲「花帰葬」ED曲「Se l'aura spira」共に良いです。
朗々と歌い上げる歌声が魅力的です。
特に「Se l'aura spira」の最初抑え目だった調子が一気に開放されるところがお気に入り。
それ以外の曲も話に合っているものばかりでした。

話は玄冬が記憶を取り戻そうとする中で彼らを追う銀朱、謎めいた黒鷹や白梟らとの関わりの中、
二人に課せられた役割が明らかになっていきます。
文章はほぼ会話のみなせいもあってか、全体を通して盛り上がりに欠ける面がありましたが、
それぞれのエンディングに至る流れの、僅かの違いで結末が変わってしまったりするのがとても自然に思えました。
素晴らしい音楽などによって醸し出される雰囲気も良くて、世界を覆う閉塞感の中にも確かな熱がある作品でした。

過去の作品感想:
花帰葬 PLUS+DISC
(2008/7/2)

 

パラダイスビュー

マジカル・マニック体験版(18禁予定/2002.8)

魔法使いの一家に生まれた魚女かずきは自分が魔法使いであることを隠しながら生活してきた。
しかし学校で最近不審な出来事が起こるようになり、
それが黒魔術師の仕業だということを知った彼は、その企みを阻止するため仲間を集めることとなった。


選択肢あり、魔法、二時間ほどで読み終わりました。
システム面はバックログが読めないこととスキップが遅めなことが面倒でした。
絵はイラストレーターのD.Kさん。個性的な絵柄でアイキャッチなど目を惹く絵も多いのですが、
イラストメインな方のためか動きのある立ち絵で違和感あるものもありました。
あとアイキャッチ時に流れる「マ〜ジ〜カ〜ルマ〜ニ〜ック」という声が耳に残ります。

この体験版では全体の半分、月曜から日曜までの最初の一週間を読むことができる…のですが、
完成版が出る前にサークルサイトも消えてしまったので開発中止でしょうか。
黒魔術師と対峙して力が及ばないことを痛感した主人公が
女の子に魔力を付与して一緒に戦ってもらうことに、という流れ。
その女の子は破天荒な幼馴染の海野かすり、お淑やかな鈴代やよい、運動神経がいい東内ますみの三人。
魔法が使えるということがバレてもさらっと話が進んでいってしまったりと淡白な部分があることが気になりましたが
絵、アイキャッチだけでなく話も妙に印象に残る作品で、完成したら買っていたと思うので残念です。
(2008/7/3)

 

Hungry-MACACO

ゆめほたる(2004.8)

夏真っ盛りのある日、長谷徹也のもとへ幼馴染だった氷室紗恵から手紙が届く。
久しぶりに遊びに来ないかと書かれたその手紙に従って、
徹也は七年ぶりに生まれ育った蛍神村を訪れることとなった。


選択肢あり、夏だ!田舎だ!アドベンチャー!とのこと、二時間半ほどで読み終わりました。ルートは三つ。
システム面は特に問題なし。スキップが速いのが便利です。
あと好感度が鉢植えの成長で表現されているのも良かったです。
絵はややバランス悪いものもありますが可愛いです。一枚絵は差分含め二十枚。
音楽は夏をよく表現できていると感じました。

場所をマップを選択して女の子と会って、好感度を上げていく形式。
女の子は幼馴染の氷室紗恵、ピアノが得意な栗林響、無邪気な正体不明、山村祐花の三人。
途中ジャンケンマシーンやもぐらたたき(出てくるのは蛇)、釣りなど三つのミニゲームをする箇所もあり。
落書き風のマップや凝ったメニュー画面、登場人物のノリのよさなど良いところはあるのですが、
話そのものはどのルートも悪くはないものの盛り上がりに欠け、あまり印象に残りませんでした。

ちなみにミニゲームはクリアすればおまけでいつでもプレイ可能。
久々に起動してみたのですが三つともとても手が届かないハイスコアが記録されていて、昔の自分すげぇと思いました。
(2008/7/4)

 

Pure-Soft

ふたりの婚約者(乙女/1000円/2004.12)

主人公とふたりの幼馴染はそれぞれの事情で離れ離れになるとき、再会の約束をした。
それから十年、約束どおり再会した三人だったが、
両親たちの決め事のおかげでいつのまにか婚約者にされていたのだった。


選択肢あり、恋愛、五〜六時間ほどで読み終わりました。
エンディングは十二種類。主人公は名前変更可。
システム面は特に問題なし。スキップが速いのが便利です。
絵はなかなか。特に幼い頃のぼかした絵柄が良いです。一枚絵は五十六枚+差分。
音楽もフリーながら良い曲が使用されています。

選択肢で行き先を決めて目当ての相手と会っていく形式。
相手は婚約者の一人で穏やかな藤崎皐也、婚約者の一人でよく主人公をからかう北条綾、
コンビニでバイトをしている元気な桐島芳、新しく教師としてやってきた響拓斗の四人。
両想いでめでたしめでたしになるエンドはあっさりしているものが多かったですが、
そこに至る前の気持ちが通じる場面はドキドキさせられましたし、
ハッピーエンドでない終わり方は切ないものが多くて良かったです。
(2008/7/5)

 

藤屋

都に雨が降るように…(2000円/2003.10)

母親の仕事の都合で、生まれた村に近い町へ引っ越すことになった榊 潦。
そこで幼馴染の少女二人と再会した彼は彼女達と日々を過ごしていくことになるが、
過去の因縁が再びその身に降りかかろうとしていたのだった。


選択肢あり、ファンタジック・ノスタルジック恋愛アドベンチャーとのこと。
ボイスあり、四〜五時間ほどで読み終わりました。
システム面ではスキップが早いのがいいですが、
ロードするとセーブしたところからではなくかなり戻されることがあるのが不便。
絵はキャラクター原案として描かれたものはかなり可愛いのですが、
実際に作品で使用されている立ち絵、一枚絵は残念ながらあまり上手いとは言えません。
ただ一枚絵での手書きの背景は綺麗でしたし、通常の写真背景も良いものがありました。

三章構成で、一章と三章は2003年の梅雨ごろが舞台。二章は主人公達の幼少時が舞台。
ルートは二つで、晴れの日でも雨傘をさしている日向紗緒莉と明るく元気な虹崎逢璃の二人がメイン。
雨、傘と少女、ノスタルジックなど興味を惹くキーワードが多い作品でしたが、
実際に読んでみると一章はごく普通で悪くはないものの、
二章以降は忘れられていた真実、それが明らかになった後の展開など山場にも関わらずあまり面白いとは感じられませんでした。
六人+αの声をそれぞれ別の方が当てていたりと力が入っている部分もありましたし、
設定、キャラ原案などプレイ前に抱く印象もなかなか良いものだっただけに残念です。
(2008/7/7)

 

ふるり

影踏み(18禁/2000円/2003.8)

妹の夏休みの自由研究のため、祖母の住む八津土岐を訪れた杉原啓吾。
自由研究のテーマは妖怪。八津土岐は妖怪に関する民話の多い土地だった。
しかしそこには本物の妖怪たちが住んでいた。


選択肢あり、妖怪、恋愛、八時間ほどで読み終わりました。
システム面では既読スキップがなく、分岐条件が難しめなので不便でした。それ以外の部分は特に問題なし。
絵は体のバランスが悪いところがありますが顔はとても可愛いです。
背景は人工物も自然物も上手いです。特に山と草が綺麗でした。
音楽も良い曲が多いですし、虫の鳴き声などの効果音も臨場感ありました。
ただ無音の箇所が多すぎるのがマイナス。

2003年8月の時点では雪音ルートしか読めませんでしたが、
パッチを当てることで綾女ルートも読めるようになります。
さらにルートが増えるとのことでしたが長いこと動きはありません。
田舎でののんびりした生活から段々と妖怪と関わっていく流れ。
テキストは悪くなく、背景や音の良さもあって田舎の雰囲気がしっかりと伝わってきましたが、
本筋の部分は印象に残るようなシーンがほとんどありませんでした。
もしも今後追加パッチが出るような事があっても読むかどうかは…微妙です。
(2008/7/8)

 

BLAZE

DESTINO(1500円/2004.8)
昼間黒ヒョウになる呪いを受けた悪魔ブランと夜間白い鳥になる呪いを受けた天使フレイ。
二人は共にいることを願いながらもすれ違い続けていた。
1915年5月オーストリア領トレンティ州の街ボルツァーノを舞台に終わりの物語が始まる。


選択肢なし、天使と悪魔、呪い、四時間ほどで読み終わりました。
システム面では既読/全てスキップの切り替えができるのが便利ですが、
スキップ速度や全体的な動作が遅いことが気になります。
絵はなかなか綺麗です。一枚絵は十四枚。
それからタイトル画面やコンフィグ画面に施されている演出が凝っていました。
ただ戦闘シーンの演出はやや勢いに欠けるところがありました。

基本的に悪魔ブラン視点と教団の神父カルロ視点が入れ替わりながら進んでいき、
ブランと神父たちとの闘い、呪いがかけられたブランとフレイのすれ違いなどが描かれています。
あとがきを読むまで知りませんでしたがシナリオの方は商業ライターだとか。
枕流さんという方で、調べてみるとToHeart2などLeaf中心に書かれているようです。
それはともかく、個々のシーンでは良い場面もあったのですが、
ブランとフレイの関係と行く末がメインなのに教団側のことが書かれすぎていて、
作品全体としての焦点がぼやけているように感じられてしまいました。
(2008/7/9)

 

Profecy(CLIFF)

バカンス体験版(VACANCE体験版)(18禁/2002.12)

里中真は進学校に通う優等生だったが、ストレスから担任を殴り退学になってしまい、
そのままなんとなく南の方へ現実逃避の旅をしていった。
そしてたどり着いた沖縄の離島で、彼は熱中症になり倒れてしまう。


選択肢なし、沖縄、パロディネタ多め、三十分ほどで読み終わりました。
タイトル名が二つあるのはパッケージ・タイトル画面とreadmeファイルで表記が違ったから(後者が括弧内)
サークル名の最初の方はこの体験版初配布時、括弧内は二回目の配布時のもの(共にコミックマーケット)です。
システム面は特に問題なし。
絵は立ち絵に違和感あるものがありますが、一枚絵はかなり良いです。

以下ネタバレに加え毒吐いているので反転。ご注意ください。
この体験版を要約すると「担任を殴って退学になった里中真が現実逃避旅行をし、
たどり着いた沖縄の浜辺で熱中症になっているところを地元の学生の高之、健二、美佐に助けられ、
そのまま美佐の部屋に泊まることになりその夜、美佐「好きなの」真「僕も」でいたしてしまうことに。
次の日、真を追って刑事がやってきて彼は美佐たちが利用していたやたら高性能な隠れ家に住むことに」
これで体験版終了。嵐のような都合のいい展開。
こうしてまとめると伝え切れていない気がしますが、実際に読んだときのインパクトは相当なものでした。
特に処女と怪しい東京者の童貞が会ったその日にヨロシクやる所(そして無許可で中田氏)と、
隠れ家(木の上に作った秘密基地みたいなもの)に太陽光発電で電気が使え、水道も通っている所。
完成したらどんな話になるのかと、ある意味ものすごく注目している作品です。五年ほど音沙汰ありませんが。

(2008/7/10)

 

Born Clunkers

テレショップたたた〜大人のおもちゃはどうですか?〜(18禁/イベント売り1000円/2005.6)

駆け出しタレントの三谷あやかのもとへテレビショッピングアシスタントの仕事が舞い込んでくる。
ケーブルテレビなことに不満を抱きつつもこれからの足がかりにとやる気満々で臨むあやか。
しかしそのテレビショッピングに出てくる商品はアダルトグッズばかりだった。


選択肢あり、公開収録プレイ、ボイスあり、一時間足らずで読み終わりました。
システム面は特に問題なし。
この作品の購入を決めた動機の半分くらいが絵だったりするので、絵はかなり可愛いと思います。一枚絵は十七枚+差分。
音楽では「たたたのテーマ」が電波でかなりのインパクト。脳にこびりつきます。ちなみにサークルサイトでDL可。

売れようとの野心に燃えるあやかが公開収録のテレビショッピングで商品の媚薬を飲まされ、あんなことやこんなことをされます。
テレビショッピングの元ネタは言わずと知れた某ジャパ○ット。
また冒頭に神経衰弱でペアになったカードに描かれた服を脱ぐ/着るミニゲームがあってその結果で分岐するのですが、
カード枚数が十二枚と少ない割には最初に着ている服を脱いでからでないと新しい服を着られなかったりするので意外と難しいです。
話はテーマ曲を始めとした軽いノリで気軽に読めてその上なかなかにエロいので楽しめました。
ただ短くてすぐに終わってしまうのだけが残念な作品です。
(2008/7/12)

 

 

(漫画)

bolze.

18禁漫画を主に描かれています。
ジャンルはオリジナルも含め多岐にわたりますが、代表的なのはああっ女神さまっとLeafあたりでしょうか。
最近はハヤテのごとく! 本が多いです。
特徴的なのはトーンやベタのない鉛筆絵。
かなりごちゃごちゃしていてものすごく読みにくいのですが、同時にものすっっごくエロく感じるから不思議です。
エロいと感じている方は本当に多いようで、即売会では毎回行列が長々とできます。
私は諦めてショップで売られるもののみを買っております。

そんな中での一押しが交響詩篇エウレカセブン本の「COME TOGETHER」(18禁/B5/44P/ショップ売り700円/2005.8)
エウレカセブン二次創作はエウレカ以外がメインの18禁本には良いものもあるのですが、
エウレカメインの本で私を唸らせるものは皆無でした。
そこでこの作品。例によってとても読みにくいのですが、
慎ましい胸とか浮き出る肋骨の形とか表情とか、はたまたエウレカに夢中になる初々しいレントンとかパーフェクトです!
(2008/7/11)

 

 

(小説)

fuca(旧micro worlds'77)

桜井ゆきさんの個人サークルですがもう活動はされていません。
基本的に男の子同士が馬鹿なことをやったり友情したりというやや女性向な話を主に書かれているのですが、
私はこの方が書かれる二十代前半くらいの女性の描写が好き。
地に足のついた、どこかにいそうなお姉さんといった感じに描かれています。
もっともこのことを御本人に伝えたら、そんなこと言われたの初めて、自分では全然意識していなかった、と言われましたが。
感じ方は人それぞれといったところでしょうか。

好きな作品は十八のサークルさんの短編小説が集められた
「競作集 かさねる」(284P/無料/2004.5/Project FreeChargeAnthology発行)
という分厚い無料本に掲載された「クロール」
受験勉強の息抜きでふとつけたラジオから聞こえてきた女性の声、それに魅了された高校生の話。
現代のおとぎ話といった内容ですが、その中で上記したような女性とのやりとりに現実感を覚えました。
それに全体にわたってしっとりとした雰囲気が貫かれていて、お気に入りです。

ちなみに「競作集 かさねる」は「かさねる」とテーマとした小説のアンソロジー。
このページ数で無料というインパクトもさることながら、
多くの文芸サークルさんの中から好みのサークルさんを見つけられる、良い試みでした。
(2008/7/6)

 

POINT-ZERO

青銭兵六さんの個人サークル。オリジナル小説で活動されています。
印象に残っているのは「機装神界エルファーザ」(前後編計160Pほど/前編は無料/2004.11完結/コピー本)
異世界に召喚されてロボットの操縦者とされてしまった女の子の話。
最初は乗り気じゃないながらも段々友情とか芽生えてきて大活躍、という王道ではなくかなり救いようのない話で、
親友や片想いの人(ネタバレ)と戦ったりするのですが、
そうした末に主人公が抱く負の感情の生々しさに目を奪われます。
ただ、それが描かれた前編に比べて後編は力のインフレで真実味が薄くなってしまったのが残念でした。
ちなみに前編はサークルサイトでダウンロードできます。
(2008/7/11)

 

 

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