お茶みどり
HP

サークルについて

オリジナルのノベルゲームを制作されています。

 

作品

灰瞳に機す(DL版の購入はこちら)

 

概要

ジャンル

オリジナル/ノベルゲーム

発売年月

2008/12

価格

700円(2008年冬コミ限定)

年齢制限

なし

特徴

選択肢、じゅんあい、キャラクター、信じる

二十七時間半足らずで読み終わりました。
バックログ、表示速度変更、既読/全てスキップ、オートモード、シーンスキップなどがあり、
セーブデータは80個まで保存可能です。

 

あらすじ

"物語は、常に二者択一を求める"

どんなに陳腐な物語でも、主人公からしてみれば夢のようなモノで。
そんなモノすら自分に訪れる訳ないと思っていたなら、きっと尚更のことである。

その日、初めて自分は、本気で人を好きになれたのだ。

ネット上の縁で出会った四人の男女は、幾度目かのオフ会にて泊まった旅館で、
不思議な少女『ヒロ』と出会う。
徐々に少女と仲を深める四人、そんな少女に恋した主人公。
オフ会という限られた日数の中、ゆっくりと流れていく愉快で爽快な時間。

……それでも、どんなにゆっくりでも、いつか必ず、別れの日はやってくる。

 

『…………そんなの、許さない』

 

きっかけは、そんな別れの日に訪れた。
まるで、恋する二人の願いを叶えるように。少年達の足を長い髪で縛るように。
走り出した灰色の物語は、やがて黒と白の二本の道へと分かれ始める。
そして少年は、一つの選択を迫られることになる。

貴方に託す選択肢は、一つだけ。

白か  黒か

たったヒトツの分かれ道の、物語。

  しんじつ
互いの色を瞳に乗せて、貴方は初めて『 灰瞳』を手に入れる。

(サークルHPより)

 

この作品について

物語の中で無数に存在する選択肢。
そのうちのたった一つが違うだけで変わっていく話。

体験版の感想はこちら

システム面は文章速度が細かく決められたり、スキップの既読/全てが切り替えられたり、
マウスカーソル消去機能があったりと充実しています。
なかでもマウスカーソル自動移動(これもオフにできます)の移動先が、
そのときやろうとしていることとほぼ一致していてとても快適に進められました。
ただ、あまりにもサクサク行き過ぎて上書きしたくないセーブデータを上書きしそうになったことがありました。
上書き確認がないのは一手間省けて歓迎ですが、
その分セーブデータ消去防止チェックがあったほうがいいかなと思います。
(NScripterでセーブデータ保護可能な作品は見たことがないので技術的に難しいのかもですが)

絵は違和感を覚えるものも少なくないですが、総じてヒロは可愛いです。
BGMは可もなく不可もなくといったところであまり印象に残りませんでした。
効果音は多彩かつ場面に合っています。
ただ効果音や画面効果、文字ウエイトを使った演出で、
体験版ほどではありませんでしたがスキップが遅くなってしまっているのは気になりました。

前半はオフ会メンバー+ヒロでのドタバタな日々。
お互いは本名などバックグラウンドを知らず、
ネット上でのキャラクターのみを前提としてやりとりがされるだけあってとにかくハイテンション。
日常が舞台ならば不自然な言動ですがこのような間柄ではそれが当たり前のことで、
そうして「演じて」いて、でもそれを心底楽しんでいるという毎日にはこちらもとても面白く感じました。
ただ人によってはこのノリをそう感じられない人もいるような気もします。

それから前半後半通じて主人公シュウがヒロのことを本当に本当に好きだということが伝わってきます。
読んでいてもそうしたシュウに中てられて、ヒロがとても可愛く、大好きに感じられましたし、
二人の初々しいやりとりが微笑ましく、すごくお似合いだなと思えました。
また、その好きだという気持ちを心中や言葉だけでなく、心底、そして行動で表し、
「ヒロのため」をどこまでも何があろうとも、
たとえそれがエゴだとしても、他人に嫌われるとしても貫くシュウには震えるほどすごいと思いました。

話の前半から後半に移るあたりで、ある出来事が起き、そして一つの選択をします。
そうして二つに分かれた話は片方が即バッドエンドというわけではなく、
どちらも結末までしっかりと書かれていて、どちらもどんどん先が気になる、素晴らしい話でした。
(以下ネタバレ反転)
最初は左を選びました。やっぱり疑うことになると言われたら右は選びにくいですね。
左はヒロの母や祖父、真里さんとのことが執拗に書かれていて気が滅入りつつも手に汗握りましたし、
右のルートも含めて、事件の真相を巧妙に隠して、でもにおわせる構成、文章は上手いと思いました。
それに盲信と言われようともどこまでもヒロを信じて、
信じられないことが出てきてもヒロの軸の部分は信じて、
そうして最後まで信じぬくシュウは本当に格好良かったです。

右ルートは左の後に読むとずっとみんな幸せにはなれそうもない流れが続くように感じられましたが
右が先だとどんな印象になったのかちょっと気になります。
もっとも左ルートも、特に紫雨の身元を捜す前あたりはかなり危うかったですけれど。
それから「縄の音」がとても効果的でした。
ラスト、ああいう展開も一つの結末ですが、二人で壊れたまま生きるのもありかなと思いました。
ただそういう流れはむしろ左ルートでナオキが死んでしまった場合の方が実現しそうですね。
右はシュウがヒロの過去をあのように思ってしまった時点で決まってしまった気がします。

全て読み終わるまで二十五時間以上かかっていますが、
それは実際の文章量以上に、一文一文をかみ締め反芻しながら読み進めていたためで、
特に結ノ松でのシーンはどれも印象的で息苦しくなるくらい惹き込まれました。

今現在(2009/1/24)入手方法はありませんが、
いずれアップデートパッチ製作・適用後委託されるとのことで、是非入手して、読んでみてください。

 

(以下完全版の感想です・2010/1/12)

灰瞳に機す(1000円)

去年の冬コミで頒布されたバージョンからシナリオの加筆修正、
立ち絵・一枚絵等の追加、BGMの追加、演出強化、
CGモード・音楽鑑賞の追加、おまけシナリオ追加などがされています。
おまけシナリオは二十分ほどで読み終わりました。
システムは以前と同様、カーソル移動が快適。
演出では文字色がグラデーションになっているものが効果的に思えました。
タイトル画面のシルエットはちょっと違和感。体型がスマートすぎて鋭さを感じてしまいます。
一枚絵は五十枚+差分。エピローグのヒロがすごくいい顔でお気に入り。

今回、おまけシナリオまで含めて改めて読みましたが、
やっぱりシュウとヒロの初々しさが大好きです。
だから後半はとても悲しくて、でも目が離せません。
また、全ての真相を理解してから読んでいるので、
嘘を書かず、あからさまにも書かないように言葉が使われているのがわかって、すごいなと思いました。
去年頒布版と同様、特におすすめしたい作品です。
同人ショップでの委託販売も開始されたとのことで、是非入手してプレイされてみてください。

 

 

 

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