東堂 前夜
HP
サークルについて
オリジナルのアドベンチャーゲームを制作されています。
作品
概要
ジャンル |
オリジナル/ADV |
発売年月 |
2017/7〜2020/9 |
価格 |
三作目までフリーソフト、四作目1000円、最終章1000円 |
年齢制限 |
15推 |
特徴 |
愛、SF、群像劇 |
※2020/4/6の拍手でKyua様からご紹介いただきました。ありがとうございます!
あらすじ
とある一人が死ねば、
何千何万もの人間が眠りにつく奇病『アイ病』。
アイ病にかかった人間は二度と目覚めない。
永遠に綺麗な姿のまま眠り続けるという。
そしてこの病は恐ろしいことに全ての別世界
『全並行世界』に蔓延している。
世界中が混沌に陥る中、
アイ病を解明しようと立ち上がった者たちがいた。
アイ病対抗組織『ヘーメラー』。
精鋭ぞろいの医者集団。
わざと病を広めようとする『狩人』や『名の継承』をはじめとした
病に関わる残酷な予防法との戦い。
一体なぜアイ病は発生してしまったのか?
(公式サイトより)
この作品について
世界移動を繰り返して哀病を予防しながら解明を目指す組織「ヘーメラー」と、
彼らに関わることになった様々な世界の人々を描く愛病世界シリーズで、全五作で完結予定。
・ゼーメンシュ-Aftermath- ver1.0(15推)(フリーソフト)
人魚世界で唯一人魚研究の博士号を持つ豪傑は、希少なツノナシ人魚、マイと同居することになる。
わけあって豪傑と同居している人間のモコ、蘭万、海貴と紆余曲折ありながらも幸せな日々を送るようになるが、
人魚を利用しようとする者や、特定の記憶を失っている豪傑の過去がその関係を壊そうとしていた。
選択肢あり、SF、人魚、愛、六時間半ほどで終わりました。
システムはRPGツクールVX製。
バックログがないことや一部を除きスキップできないことなど不便な所がありました。
音楽はそれぞれの場面に合った曲が使用されていました。
絵は喜怒哀楽みんな美しく、だからこそ時には恐ろしく描かれていました。
背景や場面転換時の演出も星を散りばめたようで綺麗でした。
「愛病世界」シリーズの一作目で、
人魚が存在する世界で豪傑が人魚や同居人を大切に思いながら過ごしていきますが、
豪傑の過去や「哀病」が関わってきます。
メニュー画面から次にやるべきことを確認することができるのが有難かったです。(次作以降も同様の機能あり)
モコ、蘭万、海貴、マイと一つ屋根の下で過ごしたり、
親しい人魚と会話を交わしたりする場面が居心地良くて、
みんながみんなのことを大好きであることがよく伝わってきました。
人魚としては普通のことながら、人間の基準から見たら純粋で、割り切りが早いけれども愛情深い人魚の在り方も尊いと思えました。
それだけに終盤のしたくないことをせざるを得ない場面での悲痛が強く感じられましたし、
そうまでして行ったことがこれからのシリーズで完遂することができるのかも興味を抱けました。
・実に花なり捜査部よ-BrotherInArms- ver1.01(15推)(フリーソフト)
赤音高校捜査部部長の豪華絢爛(ごうか けんらん)は共に暮らす曖昧(あいまい)モコを始めとした部員たちと活動に励んでいた。
部員の姉が結婚することになり、披露宴に参列することになった捜査部員達。
しかしそこで殺人事件と複数人の昏睡が発生してしまう。
選択肢あり、SF、捜査、決断、三時間四十五分ほどで終わりました。
システムはRPGツクールMV。バックログ機能なし。
音楽は特に合わないような箇所なし。
絵は緊迫したシーンに頭身の低いドット絵で緊迫感が薄れてしまう部分もありましたが、
全体的に薄暗いビジュアルが物語に合っていました。
「愛病世界」シリーズの二作目で、「ゼーメンシュ-Aftermath-」の続編。
探し物を見つけて持ち主に返すという活動をしている操作部が、
殺人事件によって引き起こされた哀病に関わることになります。
捜査部らしくマップを走り回り、探し物を見つける捜索パートもあり。
ヒュプノス狩りの詰めが甘すぎてクライマックスでも、
なんでしっかりとトドメを刺していないんだという疑問を話に入り込むよりも先に抱いてしまいました。
ですが「ゼーメンシュ-Aftermath-」と同様、序盤で描かれる探偵部の活動と部員たちのやりとりが居心地良くて、
後半、絢爛の葛藤をより苦しいものとして感じることができました。
「ゼーメンシュ-Aftermath-」から引き継がれている英雄欺人(えいゆう ぎじん)の、
胸の内では強い情を抱いていながらも非情に徹する在り方も悲しかったです。
・サイケデリック・ウーファー-Coloration- ver1.01(15推)(フリーソフト)
多くの人が突然昏睡してしまう哀病を解明するため、世界を渡り歩いている組織ヘーメラー。
その一員となった殺人鬼、才華蓋世(さいか がいせい)は組織内での信頼を獲得するため、カシノ世界を調査することになる、
その世界には、ヘーメラーに敵対するヒュプノス狩りが大量に送り込まれていた。
選択肢あり、SF、ギャンブル、愛、七時間半ほどで終わりました。
システムはRPGツクールMV。バックログ機能なし。
音楽はお洒落で華やかであったり緊迫感があったり、カジノという舞台に合っていました。
絵は才華蓋世はじめ格好いいと思えましたし、
カシノ世界は煌びやかで、睡蓮世界は美しいエフェクトがありました。アニメ演出もあり。
また、今作以降動くと画面が遅れて付いてくるのがなんだか気持ちよくてお気に入りです。
「愛病世界」シリーズの三作目で、「ゼーメンシュ-Aftermath-」「実に花なり捜査部よ-BrotherInArms-」の続編。
カシノ世界最大のカシノ・サイケデリアで賭け事を行いランクを上げていき、サイケデリアで調査を行っていきます。
途中色々なミニゲームがあり、特に一人にのみ別のお題が配られて、会話してそれが誰かを当てるワードウルフが緊迫感たっぷりでした。
カシノウォーは接待(やれば勝手にコインが増えていく救済ゲーム)
コインを引き換えにしてミニシナリオを読むこともでき、ヘーメラーの日常が楽しめました。
そんな中でも人魚世界を引きずっている欺人さんにヒェッとなります(ふっくらぱんまるシナリオ)
才華蓋世の人間の瞳を偏愛するあまりの行動がイカれていて、その一貫した所が格好いいとさえ思えましたし、
だからこそ終盤の「気付き」が、彼が本当にヘーメラーの一員となったことがわかって嬉しかったです。
才華蓋世以外のキャラクターもそれぞれに魅力的で、彼らの目指す世界を見届けたいと強く思えるようになりました。
・愛病世界-象牙の塔- ver1.02(15推)(1000円)
ワールドトラベルで行方不明になってしまう事例が会議で報告されて間もなく、狩人の襲撃を受けたヘーメラー達。
上層部の一人、ちあきはその場にいた者たちとワールドトラベルを行うが、意図せず水都世界に辿り着き、皆と離れ離れになってしまう。
水都世界には、人の皮をつなぎあわせてできており最上階まで登ったものは必ず発狂すると言われている象牙の塔があった。
選択肢あり、SF、愛、群像劇、六時間ほどで終わりました。
システムはRPGツクールMV。バックログ機能なし。
音楽はそれぞれの場面に合っていてより気持ちを盛り上げてくれましたし、前作までで使用された音楽のアレンジが流れるのも熱かったです。
絵は表情豊かでしたし、アニメーションや、あえて解像度が落ちる演出などもあり。
なにより花びらや羽が舞うエフェクトが美しくて、最初この作品から始めたのですがこれは本腰を入れねば……と
一旦本作をストップして「ゼーメンシュ-Aftermath-」〜「サイケデリック・ウーファー-Coloration- 」を先にプレイしました。
「愛病世界」シリーズの四作目で、「ゼーメンシュ-Aftermath-」
「実に花なり捜査部よ-BrotherInArms-」「サイケデリック・ウーファー-Coloration- 」の続編。
ヘーメラー上層部のちあき以外にも、前作までの主人公、英雄欺人、豪華絢爛、才華蓋世など操作キャラが入れ替わりながら、
象牙の塔と関わっていくと共に、哀病の正体の一端が明かされます。
序盤は明るいちあきがヘーメラーの人々と交わす会話が楽しく
中盤は前作までで解決しなかったことのいくつかが解決されて、前作までをプレイした身として感慨深いものがありました。
終盤では事態急変の連続で様々な感情がこみ上げてきましたが、なかでも「悲しさ」を強く、そして何度も味わいました。
前作までと同様、登場人物も魅力的で、彼らが最終作でどうなるのか、とても楽しみです。
(以下愛病世界X 全てが愛に至る-Euphoria-についての文章です・2020/11/4)
・愛病世界X 全てが愛に至る-Euphoria- ver1.02(15推)(1000円)
絶体絶命のヘーメラー。
タイムリミットは12月24日。
人間が持てる全てを賭けた最終実験の末に、
哀病に関わってきた
研究者たちが見た愛病世界の真相とは?
(公式サイトより)
選択肢あり、SF、愛、十四時間ほどで終わりました。
システムはRPGツクールMV。バックログ機能なし。
音楽はどの曲もとても印象に残る良い曲でしたが、
その中でも特に「ゼーメンシュ-Aftermath-」と「サイケデリック・ウーファー-Coloration-」のタイトル画面で流れる曲のアレンジがお気に入りです。
絵は英雄欺人の立ち絵や一枚絵に凄みを感じました。
椅子の背を向いて座る結代や横髪のうねりで本人判定される欺人といった可愛らしい絵も。
また、「愛病世界-象牙の塔-」と同様、マップ(世界)が本当に美しいです。
「愛病世界」シリーズの最終章で、「ゼーメンシュ-Aftermath-」「実に花なり捜査部よ-BrotherInArms-」
「サイケデリック・ウーファー-Coloration- 」「愛病世界-象牙の塔-」の続編。
スコア集めやプレゼントなどでの好感度上げ、報告書作成で報酬など、「ゼーメンシュ-Aftermath-」を彷彿とさせる行動をして物語を進めていきます。
物語自体も、「ゼーメンシュ-Aftermath-」の出来事が大きく関わってくるため、過去四作全て読んでからプレイすることを推奨します。
「愛病世界-象牙の塔-」は重大事件にもほどがあるところで終わって、
その続きということでかなり悲壮感に満ちた状況から始まります。
ヘーメラーとして今まで活動してきたことを否定するような展開もあり、
理由があることとはいえ、重苦しい気持ちにさせられました。
ですがそれだけではなく、前向きな姿勢や、思わず笑ってしまうような微笑ましい言動もあり、一喜一憂できました。
物語はほとんどがネタバレになるため多くは語れませんが、
英雄欺人の過去や、哀病と世界の真相が明かされるなど読み応えたっぷりです。
特に「ゼーメンシュ-Aftermath-」の大切な日々があるにも関わらずなUB世界の結末、
「実に花なり捜査部よ-BrotherInArms-」の主役、絢爛たちが経験したことと決意、
「サイケデリック・ウーファー-Coloration- 」「愛病世界-象牙の塔-」で感じられるヘーメラー達の魅力、
そういった過去の出来事が最終章で存分に生かされていることが素晴らしくて、
まさに愛病世界シリーズの集大成といった内容でした。
そして世界の美しさ、人々への愛おしさを強く感じられる、タイトル通り、愛の物語でした。
・都市伝説ロールプレイ-愛病世界- ver1.01(15推)(愛病世界X特典)
豪華絢爛の家で都市伝説を語ることになった一日千秋、才華蓋世、海内無双、英雄欺人の五人。
しかし語り手になった者は皆、奇妙な異常を訴えていき……
選択肢あり、都市伝説、四十五分ほどで読み終わりました。
システム、音楽は特に不便や合わないような箇所なし。
絵は皆和服似合ってました。感情表現や画面が傾く演出などもあり。
ヘーメラーの面々が都市伝説を語っていきます。
最初は他の人が茶々を入れたりしていたのですが、段々と……という内容で、
読んでいて自分も話の中に引き込まれていくかのような怖さがありました。
あとやっぱり欺人さんが強すぎる……ちあきの行動も尊い……!
(以下愛病世界 バーチュモンスターズについての文章です・2022/4/2)
廃墟世界の館でバーチュモンスターと呼ばれる生物の捕獲を依頼された才華蓋世。
その生物はデータをもとに他の生物そっくりに成長することができた(少なくとも外見はおおむね)
才華蓋世は知っている者たちにそっくりながらどこか違う(わりと違う)バーチュモンスターと対峙していくのだった。
選択肢あり、バトル、そっくりさん、一時間半ほどで読み終わりました。
システムはスキップ速度が遅めでエンディング回収がやや面倒でした。
音楽は戦闘時の各キャラクターレトロゲー風アレンジや、
館でモンスターを探すという舞台にあった得体のしれない曲調など、様々なBGMが使用されていました。
絵は色気のある絵柄でいままでと「愛病世界」シリーズと異なる格好を味わえました。
「愛病世界」シリーズの後日談で、登場人物の姿を模した、でもどこか違う「バーチュモンスター」が登場します。
そのため、「愛病世界」シリーズプレイ済みの方向けではありますが、
普段のみんなとのギャップが可笑しかったです。
エンディングは二種類。
バーチュモンスターはバトルでおとなしくさせる必要があるのですが、
才華蓋世ならではの行動コマンドがあったり、
バーチュモンスターごとにダメージを受ける行動が変わったりするのが闘い応えあり、
ドタバタしつつも、その裏側にあるものにもしや……を感じることができる作品でした。
(以下愛病世界T ゼーメンシュ-After/Beforemath-についての文章です・2023/8/9)
・愛病世界T ゼーメンシュ-After/Beforemath- ver1.04(17推)
「ゼーメンシュ-Aftermath-」のリメイク。
選択肢あり、SF、人魚、愛、十時間ほどで読み終わりました。
システムはRPGツクールMV。バックログ機能なし。
音楽はタイトル画面で流れる曲が「ゼーメンシュ-Aftermath-」よりさらに劇的になっていましたし、
作中の曲どれも優しくて、そして束の間だからこそ切なかったです。
絵も多くのマップで画面中央以外がぼやけるようになっていて、夢のような世界を実感できました。
エンディングや画廊で表示されるスチルもみんな印象的です。
メインストーリーは「ゼーメンシュ-Aftermath-」とほぼ同じですが、別のエンディングや、
「愛病世界X 全てが愛に至る-Euphoria-」まで読んだことが前提の裏ルートが追加されています。
エンディングは正規ルートが四つ、裏ルートが五つ。
すでにその先に何が起こるかを知っている上で過ごす灯緋町での日々が切なく、そして愛おしいものでした。
お気に入りのシーンは正規ルート分岐「扉の先」で店主に怒られる場面。すっごく嬉しかったです!
裏ルートでも、自分のやりたいことをやろうとしている豪傑が報われてほしいと思えましたが、
そのためには最低限の大きな代償を払わなければならないことが苦しかったです。
そして、最後のマイが救いになりました。
どの結末も、そこに至るまでの日々も、全てが愛にあふれて、優しくて。それなのにままならないことが悲しい作品でした。