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サークルについて

オリジナルのノベルゲームやパズルゲームを制作されています。

 

作品

たそがれの街

 

概要

ジャンル

オリジナル/ノベルゲーム

発売年月

2014/2

価格

500円

年齢制限

なし

特徴

差別、コミュニケーション

選択肢なし、六時間ほどで読み終わりました。
バックログ、表示速度変更、オートモード、スキップ、CG閲覧などがあり、
セーブデータは10個まで保存可能です。

 

あらすじ

「それでは監視員、志々塚夏樹。本日より〈乙種〉イハルを管理下に置く」

忌まわしき欠陥をもって生まれた〈乙種〉イハルは、ある暴力事件がきっかけで高校を退学になった。
転校先でも周囲から避けられ、疎まれる日々が続く中、イハルの前に、退学の原因となった男・坂本が現れる―。
監視員となった幼馴染・夏樹。もう一人の〈乙種〉・アメ。乙種を憎むクラスメートと、バイト先にやってきた少女。
さまざまな人物を巻き込んで起きる事件の渦中、ある復讐が遂げられようとしていた――。

(公式サイトあらすじより)

 

この作品について

普通の人間より劣っていて危険視されている乙種であるイハルが、
新しく通うことになった学校の同級生や、同じ乙種の少女など色々な人々と関わっていきます。

システムはセーブやコンフィグ画面から右クリックで抜けられないこと、
場面転換時に一度クリックしないと文章が表示されないことがやや面倒でした。
音楽はシリアスな曲もありますが、日常シーンではちょっと幻想的だったりメルヘンだったりな曲調でしたし、
背景絵も同様で光の描かれ方が非日常を感じさせて印象的でした。
絵は目線の移動が多く、心情が表現されていました。一枚絵は三枚+差分。

話は、一章につき一人の少女が抱える問題を失敗したり迷走したり誰かの助けを借りたりしながら解決していき、
その積み重ねによって得られた情報や人間関係が最終章へと繋がっていきます。
転校前の一悶着を描いたプロローグも収録。

プロローグや本編冒頭からずっと、イハルは社交的で善い行いばかりしているのに、
周囲の人々から差別されてばかりの連続で、いわれのない暴力さえも振るわれていて、
どっちが危険な人間だよ……と胸糞悪い気持ちでいっぱいになります。
後半まで何故乙種が危険なのか明かされないこともそれを助長しています。
(乙種の理由を知れば、差別することも納得できませんが理解はできます)

そうした嫌な気分に反発したくて色々と話の粗を探してしまいました(そして実際に気になる箇所はいくつかありました)が、
邪な気持ちで読んでいた私とは裏腹にイハルはいつだって本気で誰かのために行動していて、
イハルに協力する数少ない人も同じくイハルや誰かのために行動しています。
そんな彼らを見ていると自分の中から応援、羨望、興奮、感嘆、安堵……色々な感情が混ざった熱の塊が込み上げてきました。
各章の山場でもそうした気持ちはありましたが、
特に最終章の、後ろ向きな想いや打ちのめそうとしてくる事実に見舞われながらも善く在ろうとし、
さらには頭と体を総動員して事態を解決しようと行動するイハルに目を奪われました。
胸糞悪さが積もった中でも輝く強さを心底感じられた物語でした。


 

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