nuko
HP
サークルについて
同人ソフト制作サークル。
なんといってもシナリオ・グラフィック・プログラム他もろもろを手がけるぬこさんです。
下記の作品に参加した方々のほとんどがぬこさんに惹かれて集まったそうで、
かくいう私も参加こそしていませんがぬこさんの創り出すものに惚れこんでいます。
いままでの作品の傾向としては過剰な演出や表現を抑えた、
じんわりと沁み込んでくるような感じがあります。
絵はまだまだ上手いとは言えませんが一作ごとに大幅な上達が見られます。
これから、さらに素晴らしい世界を見せてくれるという期待を大いに持たせてくれるサークルさんです。
作品
概要
ジャンル |
オリジナル/ノベルゲーム |
発売年月 |
2003/8 |
価格 |
フリー公開中 |
年齢制限 |
なし |
特徴 |
自然たっぷりゆったり生活満喫+ちょっぴり不思議 |
長編(というほど長くはないかもしれませんが)ノベルゲームで、
パッケージはCDケースです。
あるエンディングを見ると選択肢が増えるタイプで、
バックログ、既読スキップ、オートモード、表示速度変更、CG閲覧などの機能があります。
セーブデータは18個まで保存可能です。
あらすじ
主人公、神坂 切はなんとなく乗った電車に揺られとある終着駅に辿り着く。
持ち合わせのない切はそこで出合った駅員、
三和 京夜のはからいで天津家に居候することになる。
天津家の姉妹、桐花と一葉、京夜の娘の叶、
久し振りに故郷に帰ってきた椿らとのんびりした時を過ごす切。
しかしこの地には願いを叶える神という伝承があった。
終着駅の先へ延びる線路、80年前に人が消えた村落、その魂を祀る祠。
それらに興味を持った切は…
この作品について
文体と絵や背景、音楽などがよく合っていて、
タイトルにある風と光、それに緑や雨など自然をゆったりと感じられます。
背景写真のセレクトと音楽は特に良いと思います。
絵はデッサンが狂っていたりと褒められるものではないですが、
とてもこの作品にふさわしい絵柄です。
ただ、前半の日々が心地よく感じられるというお膳立てがあるにもかかわらず、
それを後半に繋げられないというか、盛り上がるべき出来事なのに
どのルートでも中途半端に終わってしまうように感じられるのが残念に思います。
技術的には足りないながらも、溢れんばかりのパワーを感じさせてくれた作品です。
(ここより風と光があなたに恵みますように(リメイク)の感想です・2008/8/22)
風と光があなたに恵みますように(1500円)
一両きりの電車は 前方に線路を横たえたまま その動きを止めた
目の前に広がるのは 空っぽの標識と 荒漠とした広がりばかり
ひとり車内に残された少年は小さく溜息を残し 席を立った
果てなく続く線路 出口のないトンネル
時に取り残されたかのような村 消えた人々
そして 願いを叶えるという神の伝承
見知らぬ土地で 出会うはずもない人々と過ごす ひと夏の出来事……
それはまるで 陽炎の見せた 幻のように
(サークルサイトより)
2003年に発表された「風と光があなたに恵みますように」のリメイク。
選択肢あり、十一時間と少しで読み終わりました。
システム面はスキップが遅いことが気になりました。
絵はオリジナルよりずっと良くなっていますが、まだ全身絵などで違和感を覚える部分も。一枚絵は二十四枚+差分。
背景は写真で若干加工されていますが鮮やかで作品の舞台をよく表しています。
音楽はちょっと寂れていながらも穏やかな曲が多くとてもお気に入り。
ルートは四つあって読める順番は固定。段々と不思議な出来事の核心へと迫っていきます。
基本的に選択肢が追加される形式ですが、最終ルートだけは他のルートを終えた後に最初から始めると入れます。
nukoさんの三作品の中で物語としては「天に高く 地に深く」が一番良いと思うのですが、一番好きなのはこの作品。
オリジナル版ですでに何度も読んだことがあるにもかかわらず、
読み始めてすぐに今はもう自分の奥底に沈殿してしまった
十代半ば頃が浮かび上がってきたようなぞわぞわと疼く感覚がありました。
しかしオリジナルと同様に後半の不思議関連はそれまでの他では味わえない感覚が薄れてしまいました。
一周目、二周目の自分の与り知らない所で物事が動いていってしまうもどかしさ、
三周目の女の子との甘酸っぱいやりとり、最終ルートの遠出先での会話、それぞれに良くはあったのですが、
有態に言ってしまえば「田舎でのんびりと日々を送る、それがよかったのに……」そんなところです。
とはいえ、唯一無二のものを持っている、とても素晴らしい作品。
それが良かった所はそのままに、そうでないところのいくつかは改善されたリメイクでした。おすすめです。
(ここより風と光があなたに恵みますようにoriginal soundtrack+何かの感想です・2009/1/4)
風と光があなたに恵みますように original
soundtrack+何か(18禁)/(500円)
「風と光があなたに恵みますように」のサウンドトラックと、
18禁シーン、背景写真解説、登場人物によるあとがきのようなものが追加されるパッチ入り。
パッチで追加される部分は五十分ほどで読み終わりました。
18禁シーンは既存シナリオから選択肢で分岐。直接該当場面へのショートカットあり。
(ネタバレ反転)禊さんを除くヒロイン四人にそれぞれ一シーンずつあります。
どんなシーンかと言うと、局部露出(当然モザイク付ですが)あり、本番なし。
……いかにも中途半端。
イメージが壊れるという人、エロエロ希望という人、どちらにとっても納得いかないのではないでしょうか。
どうせヤるならもっと徹底的に!
あと効果音が水っぽすぎるように感じました。
背景写真解説は作品に使用されている写真に魅力的なもの多いので、
それに関するエピソードはとても興味深かったです。
あとがきは次回作について。タイトルはさすがに冗談ですよね?
概要
ジャンル |
オリジナル/ノベルゲーム |
発売年月 |
2005/3 |
価格 |
1000円 |
年齢制限 |
なし |
特徴 |
青春群像、廃墟、ザッピング |
長編(というほど長くはないかもしれませんが)ノベルゲームで、
パッケージはDVDケースです。
選択肢はなく、後半に一つルート選択があるのみですが、
頻繁に語り手が変わります。
バックログ、既読スキップ、オートモード、表示速度変更、
CG閲覧、一部音楽試聴、おまけシナリオなどの機能があります。
セーブデータは18個まで保存可能です。
あらすじ
西暦2019年、秋、東京。
震災による首都の移転に伴い、都市は自身の増殖を止めている。
退くことも進むこともせず、ただ無気力に横たわる街並。
10年近く前に廃棄された巨大高層ビルもまた、
今ではそんな風景のひとつに過ぎなかった。
高さ150メートル有余の無人建造物。
その特異な存在感に誘われるようにして、8人の男女は出会った。
天と、地と、その狭間で、彼らは互いを見つめ、自らを見つめる。
そしていつしか、ここでの時間は日常へと変わっていった。
…けれど、彼ら(彼女ら)は知らないでいた。
ビルの取り壊し、その日取りが、刻々と近づいてきている、そのことを…。
意味をなくしたものは
一体何処へ向かえばよいのだろう?
(サークルHPより)
この作品について
前作「風と光があなたに恵みますように」とは異なり、
人工物、それも高層ビルという現代的なものがメインとなっていますが、
前作と同様に畏怖や憧れといったものを強く感じられます。
こういったものを表現できる…感性というのでしょうか、素晴らしいです。
背景や音楽は相変わらず良く、
特にビルの全景はその場にいるかのような圧倒的な存在感を持っています。
絵も前作からとても上達されていて、次回作に期待させてくれます。
2005/5現在、サークルHPにて体験版がダウンロードできます。
その冒頭のシーンでなにか感じるものがあった方は、
この作品を買ってみてもよいのではないでしょうか。
作品
概要
ジャンル |
オリジナル/ノベルゲーム |
発売年月 |
2007/8 |
価格 |
2000円 |
年齢制限 |
なし |
特徴 |
夢、古城、苦悩 |
選択肢あり、エンディングは三つ、十二時間半ほどで読み終わりました。
バックログ、既読スキップ、オートモード、表示速度変更、CG閲覧、音楽鑑賞などがあり、
セーブデータは14個まで保存可能です。
あらすじ
小高い丘の上に佇む、古城を思わせる謎の建造物。
周囲は果てのない森で覆われており、人の出入りは勿論、生物の気配のようなものさえ欠如している。
一日の半分は深い霧で閉ざされていて、唯一時間の経過を感じさせる要素である。
突如、そんな世界に放り出された“ぼく”は、今は失われたままの記憶を手掛かりに、
“仲間”たちと元いたはずの場所へ戻る為にあらゆる手を尽くしていく……。
(サークルHPより)
この作品について
体験版時点では気になりませんでしたが、中盤の最後の方での主人公の言動にひどくイライラしました。
ヒロインの一人をはじめとした周囲の人々をないがしろにする言動なのですが、
このヒロインがまた明るくて気配りが利いて健気で本当にいい娘なんです。
そんなわけで、ええい、お前には任せておけん。俺が幸せにする!という気持ちになるのは当然のことなのです。
それはともかく。システム面では話の長さの割りにセーブ数が少ないことが気になりました。
絵はSDや照れたり驚いたりしたときの表情が良いです。
また、中盤の背景がそれまでとの対比でとても鮮やかに感じられました。
話は、登場人物達が古城のある世界に放り出されたきっかけは語られますが、
大本の原因には明確な解答は提示されません。
序盤、時間だけはたっぷりあるなかで交わされる会話もゆったりとしていて良いものの、
それよりもそこで培われた連帯感のようなものが後々になって効いてきて、
中盤で彼らが集まったときには嬉しさと悲しさを、終盤では喜びを覚えました。
起伏を抑えて良い雰囲気を出しつつも、その中でしっかりとメリハリが利いている作品でした。