Spicy Tails
HP
サークルについて
オリジナルのノベルゲームを制作されています。
作品
概要
ジャンル |
オリジナル/ノベルゲーム |
発売年月 |
2011/8〜 |
価格 |
Episode.01 1000円 |
年齢制限 |
なし |
特徴 |
投資、月、夢 |
Episode.01の時点で選択肢なし、八時間ほどで読み終わりました。修正パッチあり。
バックログ、表示速度変更、オートモード、CGモード、音楽鑑賞などがあり、
セーブデータは30個まで保存可能です。
あらすじ
―神を見たことはなく、声も聞いたことがない。目前に広がる闇は深く、己の手を見ることすらできない。
だが、私の深い闇は、神の明かりを受け入れるものである。
―若き神学者の言葉。蝋燭が電気にとって代わられた時代にて―
―月への移民が腰を落ち着け、十六年余りが経った頃。
人類のフロンティアを埋め尽くす摩天楼で、多くの者たちが見果てぬ夢を追いかけている時代。
月で生まれ、月で育った少年ハルもまた、見果てぬ夢を見ている一人だった。
彼の夢は、前人未到の地に立つこと。
そのためには、資金が必要だった。圧倒的な資金が必要だった。
少年ハルが向かったのは、百年の昔から人類の欲望を呑みこみ、時には叶え、時には無慈悲に打ち砕いてきた場所だった。
そこを支配する重要なルールはたったの二つ。
一つ、損をしないこと。
二つ、一つ目のルールを絶対に忘れないこと。
このルールを守れた者のみが、莫大な富を手にすることができた。
株式市場。
百年前から、懲りない連中が集まる場所だった。
(サークルHPより)
この作品について
三部作構成とのことで、今回はそのうち最初のエピソード。
夢を叶えるために家出した少年、ハルと、
数学の才能を持ちながら人付き合いに難のある少女、ハガナを中心に話が進んでいきます。
システムは特に問題なし。
音楽はそれぞれの場面に合っているように感じられました。OPにムービーと歌、EDに歌あり。
OPムービーは格好いいですし、OP歌「ワールド・エンド・エコノミカ」もお気に入り。
絵は月都市の遠景が綺麗でした。一枚絵は三十七枚+差分。
シナリオは「狼と香辛料」の支倉凍砂さんが担当とのこと。
前半はかなり地味というか、あまり動きのない展開ではありましたが、
登場人物の言葉や仕草にしっかりとした意思が感じられて、
彼らがそこで生きているのだということが伝わってきました。
そうして仕込みがされた上での後半、ハルとハガナが協力して快進撃を続けていくときの高揚や、
失敗してしまった時の絶望など、我がことのように手に汗握りつつ食い入るように読み進めてしまいました。
また、大人たちが格好いいのも好印象。特にバートンの存在感は圧倒的でした。
このEpisode.01だけでも一つの物語としてとても面白かったですが、
Episode.02は今回よりもしばらく後になってからが舞台のようで、続きが待ち遠しいです。
(以下WORLD END ECONOMiCA episode.02についての文章です・2012/10/25)
WORLD END ECONOMiCA episode.02(1000円)(購入はこちら)
選択肢なし、七時間半ほどで読み終わりました。修正パッチあり。
システム、音楽はEpisode.01と同様。OPにムービーと歌、EDに歌あり。
絵は今回、女の子が表情豊かなので見ていて楽しかったです。
前回だって可愛かったですが! 一枚絵は四十一枚+差分。
あと、ずっとウインドウ形式で文章が表示されていて、あるシーンで全画面になる演出がいいなと思いました。
Episode.01から四年後が舞台。
冒頭でハガナがいなくて思っていた以上に喪失感を抱きました。
四年前の、ハガナと一緒に走った日々は私にとってもそれだけ大切だったんだなあと再認識。
今回は地球の由緒ある家の末裔、エレノアと共に正義を行おうとしていきます。
エレノアの凄みがひしひしと伝わる描写や
それを見てハルがエレノアに協力しようとする流れ、
クリスや理沙との会話からの着想など、一つ一つのシーンに説得力を感じました。
そしてやっぱりバートンが格好いいです。
これからというところで次回へ続く、なのでとても先が気になる作品です。おすすめ。
(以下WORLD END ECONOMiCA episode.3についての文章です・2013/12/9)
WORLD END ECONOMiCA Episode.3(2000円)(購入はこちら)
選択肢なし、十三時間ほどで読み終わりました。けもみみパッチあり。
けもみみパッチは話などに追加は一切なく、ただ立ち絵にけもみみが付くというもの。なので二周目から適用推奨。
システムはロード時にマウスカーソルが自動でいいえに移動するのがちょっとだけ不便でした。
音楽はEpisode.01と同様。OPにムービーと歌、挿入歌、EDに歌あり。
ムービーが歌と話に合っていて格好良かったです。
絵はチョイ役にも立ち絵があったり、スタッフロールの一枚絵連発など、贅沢かつ効果的でした。一枚絵は五十八枚+差分。
Episode.2から四年後、Episode.01からは八年後が舞台。
ハルが八年前に抱いた二つの夢を叶えようとしていきます。
八年前と規模や舞台は違えど、投資をしてその結果が出るまでのじりじりとした時間、思惑が上手くいったときの昂揚は同じで、
読んでいるこちらまで冷や汗をかいたり、体中熱くなったりさせられました。
またややこしいところがある金融の商品や動きを用語集も交えて丁寧に解説しつつそれらがストーリーに組み込まれ、
さらにハルたちが八年間で積み上げてきたことを交えられた、濃密で精密な物語になっていました。
登場人物も今回初登場のドクターウォレスやサティアも含め変わらず魅力的で、
世界の終わりでもやめられない投資の醍醐味と、その中で芯を持って歩む人々を描いた素晴らしいおすすめの作品です。
(以下WORLD END ECONOMiCA Promenadeについての文章です・2015/1/31)
WORLD END ECONOMiCA Promenade
WORLD END ECONOMiCAのepisode.3とEDラストの間のエピソード「Promenade」と、電撃文庫版宣伝用書き下ろし三編を収録。「Promenade」はepisode.3終盤があんな展開だったのに後戻りしてる! と思いきややっぱり仲良いじゃねぇか! という感じ。ハガナの用事はそこでそれを持ってくるか! とこちらまで懐かしく感慨深くなってしまいました。やっぱりWORLD END ECONOMiCAは良い作品だ……と改めて思います。