JACK IN THE [BOX]
HP
サークルについて
オリジナルのノベルゲームを制作されています。
作品
概要
ジャンル |
オリジナル/ノベルゲーム |
発表年月 |
全年齢版:2018/6、18禁版2018/12 |
価格 |
フリーソフト |
年齢制限 |
乙女(全年齢版/18禁版あり) |
特徴 |
家庭環境、人間関係、兄 |
R18ルート追加版時点で選択肢あり、七時間ほどで読み終わりました。
バックログ、スキップがあり、セーブデータは10個まで保存可能です。
あらすじ
幼馴染と再会を果たしたのは、引越して二度目の初夏だった。
語るべきことは幾らでもあった。別れてからの時間、互いの変化、同じ場所へ至るまでの道のり。けれど、何故だかそれら全てを喉の奥に留めて、空白の年月をまるでなかったもののように並んで歩き出す。意味を含まない、ただ触れ合うようなやりとりは、守り合っていたのか、探り合っていたのか。
相変わらずだね――そう言って笑った、その一瞬の間を縫うようにしての、一言。
「そっちは、どうなんだよ。……綾乃は」
兄の名前に、動じることはなかった。
「こっちも、相変わらずだよ」
逃げるようにやってきた土地で、しかし変化らしい変化もなくただ過ごしてきた日々。新しいはずの環境に、過去を纏う人物が介入してきた。
かつて神童と謳われた兄と、そのつまらない妹の話。
(公式サイトより)
この作品について
まず全年齢版の感想を再掲載いたします。
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鉛の心臓(乙女)
かつて神童と言われたピアニスト辻村綾乃を兄に持つ高校二年生の辻村刹那は、
二年間疎遠になっていた江西航平が同じ学校に通っていることを知る。
彼と再び親しく接するようになるが、それがきっかけで兄や周囲との関係が変化していくのだった。
選択肢あり、周囲と兄妹間の関係性模索ノベルゲームとのこと、四時間ほどで読み終わりました。
主人公名前変更可。
システムは長さと選択肢の割にセーブスロット数が五個では少ないと感じてしまいました。
音楽は穏やかで綺麗で、心情描写に寄り添う曲が使用されていると感じました。
兄がピアノ演奏する所でピアノ曲が流れるところも良かったです。
絵は背景のみ。
全てにおいて兄が優先された家庭で育ったせいで自己評価がとても低い主人公が紆余曲折の末に一応の平穏を手にしますが、
それは危ういバランスの上に立つもので、幼馴染の少年と再会したことで色々な変化が起こっていきます。
説明的な文章が少なめなため物語の背景や人間関係を把握して話に集中するまで時間がかかってしまいましたが、
その分、主人公が感じる周囲との齟齬や強迫観念、居心地の良さといった様々な気持ちが丁寧に描かれていました。
また、主人公の気持ちだけでなく周囲との何気ない会話が自然である一方、
会話相手とお互い探り探り接している場面ではぎこちなさが、緊迫した場面では重苦しさが感じられました。
主人公は神様のように思っているけれど実際は……な兄や、
器用に生きることができるけれど主人公兄妹と関わってしまったがために……な幼馴染など登場人物も魅力的で、
穏やかでゆったりとした文章と緊迫感のある文章のメリハリに、時には息をのみ、時には力を抜いて物語に浸ることができました。
(2018/10/14)
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鉛の心臓(R18ルート追加版)(乙女18禁)
全年齢版から兄の辻村綾乃ルート(エンディング三つ)が追加されています。
システム、絵は全年齢版と同様。
音楽は無音になる演出がその場面における刹那の呆れをあまりにも的確に表現していて笑えました。
兄ルート追加とのことですが、まず面白いのはサブキャラとの会話。
エンド05へのルートでは美術部の東屋ひのき、
エンド06と07へのルートでは剣道部の後輩、綿貫隼との会話が多くなります。
ひのきちゃんとは刹那に絵を描くことを勧めてくれて、
これが刹那の過去と兄へのわだかまり昇華させるのにぴったりのもので、
全年齢版での刹那の激情を味わっているだけに、よく勧めてくれたと感謝したくなりました。
(ひのきちゃん視点のおまけシナリオを読むと、ひのきちゃんにちょっと親近感が……)
また、美術室で二人絵を描く時間は心地よくて、ラストも本当に微笑ましくて、善い結末でした。
あと鬼気迫る刹那の絵を見てみたいです!
エンド06と07へのルートは刹那が綿貫くんにウザ絡みするのが本当に楽しくて、
気が合うというのはこういうことなんだなとうらやましくなりました。
エンド06は完全に綿貫くんルートなのになぜサブキャラなのでしょうか!!
そんなふうに明るく綿貫くんと接しているのに、
兄や両親が絡むととたんに刹那が情緒不安定になり、
その落差でより重苦しさを強く感じることができます。
神童の兄がいたために抑圧されて歪に成長してしまった刹那が、
穏やかな学園生活と、家で兄と居心地の悪い時間を送り、
吹っ切れたり抜け出せなかったり自暴自棄になったり、兄や周囲との関係が変化していく。
その過程に没頭し、一喜一憂できて苦しくも幸せでした。おすすめです。