ゆにっとちーず
HP

サークルについて

オリジナルのノベルゲームを制作されています。

 

作品

パコられ(DL版の購入はこちら)

 

概要

ジャンル

オリジナル/ノベルゲーム

発売年月

2013/8

価格

800円

年齢制限

18禁

特徴

凌辱、思い出、変化

選択肢あり、三時間十五分ほどで読み終わりました。ボイスあり。
バックログ、表示速度変更、オートモード、既読/未読スキップ、CGモード、シーン回想、などがあり、
セーブデータは20個まで保存可能です。

 

あらすじ

……大学生になって二年目、初恋の相手だった女の子から手紙が届いた。
子供時代に勇気をくれた少女、安芸 紗倉(あき さくら)。
主人公、紺野 惇(こんの じゅん)は、
もう十年ぶりになるその女性に会いたいと約束を取り付ける。
しかし……待ち合わせ場所に現れた彼女は、昔とすっかり様子が変わってしまっていた。

「私を、助けてくれる?」

瞬間、惇は不可思議な世界に飛ばされる。
そこは夜道のコインパーキング。
紗倉が襲われ、涙ながらに処女を奪われる瞬間に降り立っていた……。

(サークルHPより)

 

この作品について

幼いころに自分を救ってくれた少女と久々に再会するも印象が全く変わっていて、
合っていなかった期間、彼女に何があってそうなったのかを知っていきます。

システムはロードに多少時間がかかりますがそれ以外で不便なところなどはなし。
赤白に明滅する文字が不穏さを出していました。
ボイスは熱演という言葉が相応しく、幼い頃のちょっと卑屈だけれど優しい声音から、
犯されている時の悲痛な叫び、怯え、その後の混乱、絶望、痛みなど、ヒロインの感情が迸っていました。
これだけボイスが素晴らしくて、かつ話に必要だと思えたのはいままでの記憶にありません。

絵も、ちょっとイラッとする紗倉の笑顔や
どんどんと落ちていく過程が描かれていました。一枚絵は十一枚+差分

話は序盤に幼くもキラキラした決意を抱いたシーンがありますが、
以降とことん紗倉の身に酷いことが起こります。
自分勝手な理屈を振りかざす男たちに犯される理不尽さ、
悪くないのに自分が悪いという考えに苛まれる紗倉、
直接は手を出さずとも紗倉を言葉や態度で追い詰めていく周囲の人々、
しかしなにもかも放り出そうと思っても、主人公との過去があるため自制してしまう意図しない枷、
そうした全てが紗倉を追い詰めにかかっていて、体も心も壊されていく過程が詳細にありありと徹底して描かれていました。
さらに悲痛きわまりない声が紗倉の心境そのままにボイスとして聞こえてくるわけで、
一切手出しできないまま視せられ聴かせられ、すべてのシーンが胸に刺さりました。

結末は選択肢によって三つありますがどれも幸せとはほど遠いもので、
読み終わっても、この文章を書いていても、まだじわじわぐつぐつ行き場のない気持ちが胸に渦巻いていて、酷く、心に残る物語でした。

 

 

作品

ご主人さまにあ(DL版の購入はこちら)

 

概要

ジャンル

オリジナル/ノベルゲーム

発売年月

2015/8

価格

1000円

年齢制限

18禁

特徴

人生、SM、ご主人様

選択肢なし、六時間四十五分ほどで読み終わりました。ボイスあり。
バックログ、表示速度変更、オートモード、既読/未読スキップ、CGモード、音楽鑑賞などがあり、
セーブデータは72個まで保存可能です。

 

あらすじ

父の死から七年、母の死から一年。
肺炎をこじらせて亡くなった母親の一周忌。
藤みつ希は体調不良と嘘をついて法事をサボタージュする。
二人だけの家族となってしまった弟の由貴にすべてを押し付け、
破滅願望を満たしてくれる相手をインターネットで物色していた。

その折に出会った、浅見と名乗る男。
彼とSMまがいの性行為を繰り返しながら、
己を常に責め立てる「なにか」から逃れようと必死になる。

不審死を遂げた父、
呆気なく死んだ母、
よそよそしい弟、
みつ希に執着する男。

すべての人物が繋がったとき、みつ希の世界が急激に動き出す。

(サークルHPより)

 

この作品について

七年前に父親を亡くし、一年前に母親を亡くし、弟の由貴(よしたか)と二人で暮らしている藤みつ希(ふじ みつき)が
鬱屈とした気持ちをなんとかしようとインターネットで知り合った浅見鎮樹(あざみ しずき)とSMまがいの性行為を繰り返していきますが、
浅見さんの存在はみつ希の認識を大きく変える発端になります。

システム、音楽は特に不便や合わないような箇所なし。EDに歌あり。
絵は違和感を覚える部分もありましたが、みつ希の不安定さがよく出ていました。一枚絵は十五枚+差分+α。
ボイスは間やイントネーションが徹底してこだわっているという印象で心情に合っていました。

藤みつ希が弟と暮らし、浅見さんとSMまがいのことをしていく中で過去を思い出し、また過去が明かされます。
浅見さんが、みつ希の逃げ道を潰し、それ以外にも色々と重要な役割を果たしていて存在感たっぷりでした。
それでいながらのラストの顛末も印象的です。

Hシーンは肉体的にも精神的にも痛々しくて、でもみつ希がシニカルな傾向にあるため
興奮するというよりも目を背けたくなるようなものでした。
それ以外のシーンや、Hシーン中でも過去を想起させるシーンは、
みつ希の血を吐くような独白に満ち満ちていて、全編に渡って暗澹とした気持ちにさせられます。
その上で、終盤、あることが明らかになってからの怒涛の展開、
各々の本性がさらけ出される様には目が離せなくなりましたし、
美しくも醜く、あっけなくも後を引くラストにはしばらく茫然自失するほかありませんでした。

そうしたみつ希のむき出しの心に惹き込まれ、圧倒させられ、
でもどこかで彼女を見下して安心できるような、仄暗い作品でした。

 

 

作品

ニルハナ(DL版の購入はこちら)

 

概要

ジャンル

オリジナル/ノベルゲーム

発売年月

2017/12

価格

1500円

年齢制限

18禁

特徴

性愛、魂、群像劇

選択肢あり、十時間三十分ほどで読み終わりました。ボイスあり。
バックログ、表示速度変更、オートモード、既読/未読スキップ、CGモード、音楽鑑賞、シーン回想などがあり、
セーブデータは160個まで保存可能です。

 

あらすじ

これは夢か。幻か。その果てにある現実なのか。
咲かない花は罪なのか。

「とある養護施設に潜入して、その実態を暴いてほしい」

ワケありの女性とばかり関係を持ち、怠惰ながらいかがわしい日々を過ごしていた主人公・宮森タツヤは、
旅行先で出会った少女からそんな話を持ちかけられる。

「貴様、他人の不幸が大好きなウジ虫みたいな性癖だろう? 私の依頼を受ければ、
 不幸のオンパレードがリアルに見られるんだぞ。特等席のフリーパスだ」

ユウと名乗る少女の物言い、なにより彼女自身に魅力を感じたタツヤは、
彼女と定期的にデートすることを条件にその依頼を引き受けることにする。

久しぶりに得る恋のときめき、胸が躍る感覚に酔うタツヤ。

――だが、潜入先の施設はタツヤの想像を上回る超ワケあり物件であった。
胡散臭い運営者、見え隠れする後ろめたい過去、療養中の女性の性行為…。
住み込みのボランティアとして過ごすうち、タツヤの精神状態は急転落下してゆく。

過去のフラッシュバックに襲われ、入所者に邪な感情を抱き、
夜に眠ると覚えのない異国の風景を悪夢として見せつけられる。

自分の夢が、感情が覗かれている。
誰かの過去を、想いを見せつけられている。

少女は囁く。

「堕ちてみませんか?
 もっともっと、絶望の底が抜けるくらい深いところに……
 あなたの中の純情が、二度と這い上がって来られない場所に……
 幼稚な恋慕が追いつかないくらい、真っ暗なぬかるみの中に……」

果たしてタツヤは健常な心を持ったまま施設を抜け出せるのか。
ユウの目的と真意は一体なんなのか。


抱いた恋心は、どこへ行くのか――。

(サークルHPより)

 

この作品について

宮森タツヤが津摘ユウから依頼を受け、
ユウと因縁のある相手が運営する施設に住み込みで働き内部事情を探ろうとしますが、
だんだんとその施設の異様さに飲み込まれていきます。

システムは特に不便な箇所なし。
音楽は穏やかだけれどどこか朽ちた印象を受けるタイトル画面の曲「心の水面」
目の前が開けるような「交差する世界」をはじめ、
穏やかな曲、不穏な曲それぞれ話に合っていましたし、エンディングの歌「ハナムケ」もいい余韻がありました。
絵はパッケージからすでに美しいですし、登場人物たちの衣装も華やかで、一枚絵もはっとさせられます。
あとテマリちゃんのおっぱいが硬そうなのが描写通りで興奮しました。一枚絵は三十枚+差分。
ボイスはどのキャラクターも合っていると感じましたが、
特にキーチャイルドの代表、リュウヤの飄々としつつ底意地の悪さを感じさせる声音が印象的でした。

テマリちゃんルートで詳らかに語られる女の愚かさ、卑怯さ、
クレハルの救われなさ、
ナミダの盲信、
カスリの情緒不安定、自信のなさ、
リュウヤの過去や、キーチャイルドで行われていることの異様さ、
マユの身に起こったことなど、
バッドエンドや、途中に起こる出来事では暗く、激しく、
上のようにただ羅列しただけでは到底足りないほどに一緒に沈めと言わんばかりの負の感情が込められていました。
特にタツヤの安全圏から他人の悲劇を見る楽しみは身につまされるものを感じつつ、
鮮やかな手練手管を素晴らしいとも思えました。
そうしたことに引き込まれつつも、ユウと会うシーンやメインルート終盤は慈しむような救いがあり、
タツヤの確かに持っていたけれど埋もれてしまった善さをしっかりと感じ取ることができました。

「作品は作者の子供」と言われることがあり、まさに「ニルハナ」こそそうでした。
読み手にとって他人の子供かもしれませんし、制作者様のことを考慮に入れて作品を見るのは異論のあることかもしれませんが、
それでもいままでの制作過程と制作された作品を……傍観していた身としてはとても勝手ながら「良かった」と安堵しましたし、
ゆにっとちーずさんの集大成にふさわしい作品でした。

 

 

 

 

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