ハットボン
HP

サークルについて

オリジナルのノベルゲームや小説、イラストを制作されています。

 

作品

この道をともに

 

概要

ジャンル

オリジナル/ノベルゲーム

発売年月

2019/8

価格

500円

年齢制限

なし

特徴

学園、魔法、恋愛

選択肢なし、十六時間四十五分ほどで読み終わりました。
バックログ、未読スキップなどがあり、
セーブデータは5個まで保存可能です。

 

あらすじ

日本国立魔術研究特殊高等学校1年101組機械科に所属するナカミチはクラスの副委員長を務めていたが、
一学期に起こったトラブルが原因で、委員長の白野風紀(しろのふうき)共々その役職を辞していた。

そして迎えた二学期始業式の日。ナカミチは、校門前で生徒会長と押し問答をしている女子生徒を見かける。
その生徒、寿このみは生徒会長の妹で、ナカミチと同じクラスだったが一学期には一度も登校していなかった。

二学期早々の席替えで両隣を風紀とこのみに挟まれる席となったことからこのみと親しくなったナカミチは、
風紀やその他のクラスメイトも交え、学園生活を送ることになる。

他のクラスよりも魔力が低い上、一学期にトラブルを起こした機械科は、周囲から厳しい目で見られていたが、
彼らはあの手この手で行事を盛り上げようと画策するのだった。

 

この作品について

魔法が存在するけれども個人差が大きくてほとんどの人は大したことができず、研究もほとんど進んでいない世界を舞台に、
ナカミチくんがふうきさんやこのみちゃんに振り回されながらも色々なことに取り組んでいきます。
作中の期間は高校一年の二学期から卒業まで。

システムは文章表示速度変更ができず遅めなことがやや不便でした。
音楽は特に合わないような箇所なし。
絵は立ち絵がトランプのような長方形の枠内に表示されます。表情や服装が多彩でした。
クラスメイトのモブキャラは全員前方後円墳のようなのっぺりした形で、
クラスみんなで協力するという作中の内容と合っていないようにも思えましたが、
二年生のラストにある演出はモブキャラの立ち絵が効果的に使われていました。

テキストは会話以外にナレーションが入るのですが、
登場人物を茶化したり、おどけたり、話が脱線したりしていてかなりクドく感じてしまいました。
他にも三年生の体育祭では周囲を説き伏せて堂々と戦ってほしかったな、とか、
悪役の言動がダーティすぎて解決できてしまうことに納得がいかないといった気になる部分もありました。

ですがそうしたことが吹き飛んでしまうくらい、
ナカミチくんやふうきさん、このみちゃんが中心となって臨む様々なイベントが熱くて、笑えて、楽しかったです。
冒頭から「手段無用!宿題殲滅!」と銘打って、夏休みの宿題提出率100%を達成するため、
始業式当日の朝にクラス全員で手分けしたり、先生に違う話題を持ちかけて回収を延期させたりしながら宿題を片付けていて、
ちょっとグレーな手段も含めて計画と機転を利かせて成功へと向かう達成感と、クラスの仲の良さ、ノリの良さをたっぷり味わえました。
また、それぞれのイベントで目的を達成するまで(あるいは目的自体を設定するところから)には、
相手の心理や自分達にできること、利用できるものなど土台となるものがあって、
それらを踏まえながら話が進んでいくので、破天荒ながらも無理なことではないと思えて話に入り込むことができました。
どのエピソードも面白かったですが、
魔力で大きく劣るなか、事前準備を徹底して戦術を考え、互角の戦いに持ち込む一年の魔道祭と、
大学の学園祭でクイズゲームに参加して、意地悪な問題に振り回される場面が特に面白かったです。

登場人物はふうきさんがとっても魅力的でした。
困難なことでも常識に囚われない発想と綿密な準備と奔放な言動でクラスを引っ張り、ナカミチ君を振り回してくれます。
作中イベントのほとんどが、ふうきさんを基点として始まっていて存在感たっぷりでしたし、本当に楽しませてくれました。
体育のシャトルランで男子一位よりも一回だけ多い回数こなした後、ぶっ倒れる負けず嫌いでもありますし、
話を上手く進めるためには悪役になることも厭わないところにも惚れます。
そのように目立つので周囲からの風当たりが強くなることもあって、
ふうきさんが大好きな分、そういう場面は読んでいるのがとてもつらかったです。

ナカミチくんやこのみちゃん、ふうきさん、クラスのみんなが送った3年間。
その最後、彼らはこう言って卒業していきました。
「最高のクラスでした」「楽しい毎日だったよ。毎日の学校が楽しみだった」「3年間ありがとう。」
こちらこそ、最高に楽しい3年間の日々を読むことができました。ありがとう!

 

 

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