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サークルについて

オリジナルのノベルゲームを制作されています。

 

作品

古書店街の橋姫(DL版の購入はこちら)

 

概要

ジャンル

オリジナル/ノベルゲーム

発売年月

2016/8

価格

2500円

年齢制限

BL18禁

特徴

物語、大正、ミステリー

選択肢あり、ボイスあり、二十五時間ほどで読み終わりました。修正パッチあり。
バックログ、表示速度変更、オートモード、既読スキップ、CGモードなどがあり、
セーブデータは60個まで保存可能です。

 

あらすじ

大正十一年六月 梅雨の神保町

会津から上京してきた玉森は、帝大合格を目指す浪人生。
しかし底知れない空想癖とだらしない性格が災いし、たった二年で下宿先に見限られてしまう。
とある縁で古書店・梅鉢堂に住み込みで働くことになった玉森は、
同郷の親友らに甘えながらも浪人生という猶予期間を謳歌していた。

そんな中、頼りにしていた親友の相次ぐ自殺と怪死。
雨の降る三日間をなぜか繰り返していることに気づいた玉森は、
彼らを掬うため神保町を奔走する。


何が現実で、
何が幻覚なのか。

友人の死の謎を追う、ポップオカルトな大正ミステリー

(公式サイトあらすじより)

 

この作品について

賢そうに見えてものすごくダメ人間な玉森が三日間を繰り返し、
死んだ友人を助けようとしたり助けることをほっぽり出したりしていきます。
一部残酷な表現あり。

システムは特に不便な箇所なし。
音楽はレトロな曲を中心に優雅な曲、切ない曲、賑やかな曲、焦燥を煽る曲など多彩でした。歌は三曲、OPにムービーあり。
歌では「ハルシネヰション」「eyes only」、BGMでは「奇書の冒頭」「橋桁のてるてる坊主」「嵐のあとに」「後日譚」がお気に入り。
ムービーも話に合っていて何度も見返したくなります。
ボイスは玉森が普段は偉そうで、飄々としてて、肝心なところでは情けなくて、頼りなくて、玉森らしいと思えました。
他の登場人物も、水上の穏やかさ、川瀬の皮肉やあきれ、花澤の固さ、博士の浮かれ挙動不審等々、
皆合っていましたし、間などの表現も上手いなあと感じました。
絵は水上ルート終盤をはじめとした美しいものから、玉森の幻想を表現したサイケデリックなもの、
猟奇的なもの、コミカルなものまで多彩かつ目を惹かれました。一枚絵は百九十九枚+差分。

登場人物でお気に入りなのは博士と蛙男。
散々玉森のダメさや幼馴染達の頑なさ、凄惨な展開を見せつける中でこの二人は癒しでした。
また、後日談やプレイヤーの方々が公開されているQ&A(2016年10月1日現在募集中。公式サイト参照)
を読むたびに素直でなくとも玉森のことを深く想っている川瀬の心情がわかって川瀬株がぐんぐん上昇中です。
主人公の玉森は他人事とは思えないダメ方向の親近感を覚えます。現状維持最高ですね!
(たまに格好良く、結構多くの場面で引くほど人でなしですが)

水上ルートは最後まで辿り着くのに一番四苦八苦したルートだったこともあり、終盤は感慨深いものがありました。
川瀬ルートは不正規連隊との交流や幻想世界での対峙、ダイナミックな結末と
二転三転しつつ綺麗に締められていて、一番お気に入りです。
花澤ルートは花澤の融通の利かなさに辟易させられましたが、それを黙らせる結末が痛快でした。
博士ルートは博士のことが好きなので、彼のことをないがしろにしているとも取れる展開に納得いかない思いもありましたが、
共通ルートも含めた博士の玉森好きっぷりや、挙動不審な言動、奇天烈な発明品など、博士の一挙手一投足が面白かったです。
最終ルートは短めであっさり気味でしたが、いきなり叩き落される展開にびっくりさせられました。
また、後日談を読んで玉森は(ネタバレのため反転)文士になれたんだなあとなんだかしみじみと嬉しさがこみ上げてきました。

全体を通しても、しっかりと筋道立てて構成されたシナリオと、各々の心情に圧倒されつつも楽しめました。
それだけではなく、読み終わった後に本編の出来事を思い返したり、
後日談やQ&Aを読んだりするたびに新しい発見や、今まで抱いていた気持ちを強くする事があって、
プレイ中だけでなく、読み終わってからも「古書店街の橋姫」と登場人物のことがさらにどんどん好きになる、そんな作品でした。
今後番外編フリーゲームや副読本も発表予定だとか……!

 

作品

ウウウルトラC(DL版の購入はこちら)

 

概要

ジャンル

オリジナル/ノベルゲーム

発売年月

2020/9

価格

4950円

年齢制限

BL18禁

特徴

昭和、ヒーロー、怪獣

選択肢なし、ボイスあり、十時間四十五分ほどで読み終わりました。
バックログ、表示速度変更、オートモード、既読スキップ、ムービー閲覧などがあり、
セーブデータは108個まで保存可能です。

 

あらすじ

昭和45年3月。
東京は祖師谷に住む正太郎は恋人・狐塚君と二人暮らし。
世間では人の怪獣化が感染症として認知され、
受け入れを促す一方で不穏な空気が漂っていた。
正太郎は正義に憧れるその一人。
しかし、怪獣の血を浴びたことにより日常は一変する。

怪獣、
ヒーロー、
巨大ロボット、

3人の主人公たち。

昭和の遺物を巡るアバンギャルドな特撮ドラマ

(公式サイトあらすじより)

 

この作品について

第一話は怪獣の血を浴び感染疑惑をかけられた。籠目正太郎(かごめ しょうたろう)と、
その恋人で漫画家で年下であまり堅気には見えない狐塚明(こづかあきら)が、
正太郎の夢である俳優を目指したり、仲良くしたり喧嘩したり、怪獣擁護団体と関わったりしていきます。
第一話を読み終わると第二話と第三話を読むことができるようになり、
それらは第一話よりも一年ほど前から始まりますが、
その後昭和45年に起こった一連の出来事をそれぞれの視点で読み進めることができます。

第二話はヒーローと怪獣を憎みながらも初恋の少女ベルちゃんに再会するまで純潔なままでいた蝶番史郎(ちょうつがいしろう)が、
ベルちゃんこと一色鈴(いっしきすず)と再会しますが、実は男でその上怪獣であることが判明します。
第三話は正義のヒーローイカロス役を演じる大人気俳優、鞘師十郎(さやしじゅうろう)と幼馴染の雲雀野夜美(ひばりのよみ)が、
役ではなく本当に怪獣を倒す戦隊イカロスとその司令塔として活動していきます。

システムは特に不便な箇所なし。
音楽は昭和な印象を受ける曲が多かったです。OPにムービーと歌、EDに歌二曲(+OPのフル)
第一話のテーマソング「uprise!!!」はイントロと、サビの一番最初のフレーズが格好良かったです。
第二話ED「Ubel」は妖しくも繊細なベルちゃんが良く表現されていました。
第三話の最終ED歌は、「にんげんっていいな」を彷彿とさせるコミカルなアニメーションから、
十郎と夜美の心情、特に夜美がわかる歌詞で、ラストシーンの後にこの曲を聴けてなんだか嬉しくなります。
絵はCGモードがほしい所ですが、無理ですよねー、と思うくらい、
コミカル、シリアス、熱い、怖い、淫靡など様々で膨大な量のスチルが使用されていました。
そのため絵で説明して描写は簡潔でテンポよく読んでいくことができましたが、
怪獣の見分けが付きにくくてこれは誰なんだろう? と思ってしまうことなど、絵でも文章でも説明不足に感じてしまう場面が時折ありました。

「ウウウルトラC」をプレイしていて常に感じていたことは、楽しんで制作されたんだろうなあということです。
もちろん大変なことだって沢山あったのでしょうが、
好きでなければ1960年代、1970年代、あるいはその前後の漫画、アニメ、ドラマ、映画、特撮などをこんなにいっぱいモチーフにした作品を作ろうとはしないはずです。
私はそう言ったことにあまり詳しくはないですが、知っているモチーフが登場したときはニヤリとさせられましたし、
知らないモチーフも含めて昭和のこの時代への大きな愛情を感じました。

ストーリーでも、メインの三組全てで深い愛が描かれています。
キャラクターとしてお気に入りなのは蝶番さん。ベルちゃんを想い続けている一途さ、悪ぶっていながらも困っている人をほおっておけない優しさがゆえに、
男で怪獣だった一色さん(ベルちゃん)に振り回されるのが可哀想で笑えました。
それにこの二人の幼い頃の仲睦まじさは微笑ましくもドキドキさせられましたし、
お互いその頃の想いを引きずりまくっていて、クラクラするくらい純愛濃度が高くて大好きです!
サブキャラクターでは楽しそうに引っ掻き回してくれるゴシップ誌の女性記者宮本羽蘭(みやもと​うらん)と、
声と口調が可愛い喋る犬、タロウもお気に入りです。
物語としては第一話が、ほぼ全員関わって、紆余曲折ありながらも最後スカーンと爽快に終わる盛りだくさんな内容で一番良かったと思いました。
そして第三話は十郎深すぎてヤバい愛情に圧倒されます。
どれだけ夜美から突き放されようとも諦めず、夜美が好きということ以外はいくらでも曲げて捨てて壊して、ただ夜美だけを求める。
誰が何をしようと、それが例え夜美であっても、譲らない強烈な愛がありました。夜美と初対面時からヤバかったですしね……。

1960年代、1970年代を中心とした昭和の時代の懐かしさ、情緒、空気を感じられると共に、
爆発しそうなくらいハラハラドキドキワクワクさせられるエンターテインメントが詰まっていて、あふれんばかりの愛がある作品でした。


 

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