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HP
サークルについて
オリジナルのノベルゲームを制作されています。
作品
概要
ジャンル |
オリジナル/ノベルゲーム |
発表年月 |
2019/4 |
価格 |
フリーソフト |
年齢制限 |
15推 |
特徴 |
ホラー、ザッピング、桜 |
1.13.16.14時点で選択肢あり、名前入力あり、八十八時間ほどで読み終わりました。
バックログ、表示速度変更、オートモード、既読スキップ、資料、事典などがあり、
オートセーブで中断セーブデータは4個まで保存可能です。
あらすじ
2020年四月、桜が舞う季節――。
ある町で見るも無残な、真っ赤な死体が発見される。
テレビやネット、SNSはその話題で持ちきり。
なぜなら、このような事件が、過去に何度も起きていたからだ。
メディアの向こうでの出来事だったはずが、彼女たちのすぐそばで『何か』がうごめいていた。
(プロローグより)
この作品について
桜の時期に体調が悪くなるが危険予知ができる古郡なつみと、
一歳年上の幼馴染で親友の新村春花(にいむらはるか)、一歳年下の天才少女、五島絵梨奈(ごとうえりな)が
2020年4月8日に発生した猟奇殺人事件に巻き込まれていきます。
それだけでなく物語は過去や未来にも及び、ささいな違いで物語が大きく変わっていき、多くの出来事が色々な年の4月8日に発生します。
シナリオは一分〜二十分程度に区切られており、基本的に読み終わるごとに新たなシナリオを読むことができるようになっています。
それらは時系列順に並べられているシナリオナビゲーター画面で選択することができ、
必要なことは赤い装束に能面を着けた案内人の立木三日(たちきみか)が説明してくれます。
ある結末まで読み終えると過去のシナリオに分岐が発生し、新たなルートに進めるようになる構成。
途中同時並行で話が進んでいく個所や、新たな事実が明かされる裏ルート、クリア後おまけでメタ全開の実況モードなど様々な要素あり。
他に新聞記事や文献等の資料やサイドストーリーを閲覧することができるリファレンスモード、
登場人物、地名、出来事等が解説されている事典、立木三日をからかうことができる雑談などもあります。
システムはリファレンスモード等を見るためのショートカットキーや、
シナリオナビゲーターへ戻るためのオールキャンセル等、便利な機能があり有難かったです。
また、シナリオの文字数と進行度が表示され(非表示にすることもできます)あとどれくらいで読み終わるのがわかると共に、
進行度100%を超えることもあり異常事態であることをより実感できました。
他にも動きのある演出や、システム的な演出など多彩な仕掛けが施されていました。
音楽は様々な曲が使用されており、挿入歌やED歌も複数あります。
絵は基本的に影絵で、時折影絵でない立ち絵や一枚絵も表示されます。
影絵はそれぞれ違った色でセリフの文字色と連動しており、誰のセリフかわかりやすかったです。
猟奇的なグラフィックも多く、影絵であるがゆえに想像力を刺激される箇所もあれば、
特にニセ五島が怖かったです。
とても長い話ですが、短めのシナリオなことに加え、
リファレンスや事典、雑談がどんどん追加されていくため集中力を切らすことなく読み進めることができました。
ただ、
冒頭に、演出の都合上、「ゲームが強制終了する」等の注意書きが表示されるので逆にそういう演出があるのだなとわかり、
だまし討ちはしないようにしていて誠実ではありますが、
不意打ちでなくなってしまうので衝撃がやや減少してしまった部分もありました。
それでも直接的な猟奇描写から、行動が筒抜けだったり疑心暗鬼に陥ったりといった間接的なものまで様々な恐怖を味わえます。
怖い内容だけでなく、どうしてこんなことが起こるんだろうとやるせなく感じる所もたくさんあれば
どうしてこんなことが起こるんだろうと好奇心を刺激されたり、
登場人物同士の信頼や思いやりを感じられたり前向きな要素も多々あります。
作中何組かいる姉妹、もしくは姉妹同然に育った人達の関係性に百合みを感じる所も個人的に推しポイント。
謎飲料が出てきたり、警察がロリコンだったり、セクハラ幼女が登場したり、
「乙女の聖戦」とタイトルにあるシナリオではなつみ達がささいなことで張り合ったり、コメディ成分もたっぷりで笑えました。
特に死月編解決〜最後の声編からのボスラッシュが緊迫、安堵、安らぎ、笑い、驚き、絶望などなどなど様々な感情を揺さぶられて一番お気に入りです。
良くない結末ばかりの呪殺編を経て、事件を解決しようと謎に迫っていく所に高揚を覚える明徴編や、
パカップルっぷりが味わえる詫言編や、立木三日と色々なことを話して最初は不気味だった能面が可愛く思えてくる雑談も好き。
序盤のシナリオタイトルやグラフィックと対になるラストシナリオも感慨深かったです。
登場人物でお気に入りは断然五島絵梨奈。
天才少女(とはあまり呼ばれたくないようですが)の名に恥じない活躍をしてくれます。
とはいえ、彼女の言う通りに行動しても必ずしも助かるわけではない……というか不幸な結末になる方が多いのですが、
その時点で手に入る情報の中で最善を尽くしてくれているのがわかるので、何度酷い目に遭ってもその信頼は揺るぎませんでした。
どの場面でも、五島ちゃんが助けに現れた時の安心感たるや地獄に仏でした。
「死月妖花」「四月八日」を軸にして多種多様なシナリオやギミックが詰め込まれていて、読みやすく、かつ読み応えたっぷりな作品でした。